国外居住親族に係る扶養控除等の適用について

 こんにちは!税理士法人IU Managementです。 

 令和7年分の確定申告の受付が始まりました。確定申告が必要な方はもう手続きお済でしょうか?税理士事務所に依頼されている方は資料の提出はお済でしょうか?まだ資料の準備が出来ていない方はお早めに! 

 今日は年末調整で質問されることが多くなってきた国外居住親族に係る扶養控除等の適用についてお話ししたいと思います。

外国人労働者250万人時代へ 

 現在、日本の労働市場において外国人労働者は欠かせない存在となっています。厚生労働省が発表した最新の統計(令和7年10月末時点)によると、外国人労働者数は約257万人に達し、届出が義務化された平成19年以降で過去最多を更新しました。ベトナム、中国、フィリピンといった国々からの労働者が中心となり、製造業や卸売・小売業など幅広い分野で活躍しています。 

 こうした「労働力の国際化」に伴い、企業の年末調整実務において重要性が増しているのが、「国外居住親族に係る扶養控除」の取り扱いです。平成28年と令和5年に適用条件が段階的に厳しくなっています。今回は、制度が厳格化された経緯と、現在の具体的な適用条件について解説します。

なぜ「国外居住親族に係る扶養控除等」のルールは厳しくなったのか?

 かつて、国外に住む親族を扶養に入れる手続きは、自己申告のみで現在ほど厳格ではありませんでした。しかし、大きな転換点となったのは、会計検査院による「平成25年度決算検査報告」での指摘です。

「ザル状態」と指摘された過去の実態

 当時の調査では、以下のような実態が明らかになりました。

  • 過剰な国外親族の扶養適用:扶養控除の適用を300万円以上受けている納税者の扶養親族の居住国等を確認したところ、90%が国外居住の扶養親族でした。
  • 確認の限界:当時は証明書類の添付が義務化されておらず、実態として「本当に送金しているのか」「本当に親族なのか」を税務署が確認することが困難でした。  

 これを受け、平成28年から「親族関係書類」「送金関係書類」の提出が義務化され、さらに令和5年からは年齢制限などが導入される抜本的な改正が行われました。

平成28年から義務化された2つの必須書類

書類名具体的な内容留意点
親族関係書類   戸籍謄本、出生証明書、婚姻証明書など。外国政府発行の書類の場合、氏名・生年月日・住所の記載が必要です。原本の提示が必要です(パスポートの写しを除く)。外国語の場合は日本語の翻訳文の添付が必須です。
送金関係書類 外国送金依頼書の控え(銀行振込)、家族カードの利用明細書(クレジットカード)など。納税者(従業員)から親族へ、生活費等を「必要の都度」支払ったことを示す必要があります。

令和5年から対象年齢を限定:30歳以上70歳未満は原則「扶養控除対象外」へ

 令和5年以降の制度では、国外に住む親族のうち、働き盛りである30歳以上70歳未満の者については、原則として扶養控除の対象から除外されています。ただし、以下のいずれかの条件を満たし、証明書類を提示できる場合に限り、例外的に控除が認められます。

  • 留学生: 外国政府が発行した留学ビザ等の書類があること。
  • 障害者: 日本の基準で障害者に該当すること。
  • 38万円以上の送金を受けている者: 納税者から生活費として年間38万円以上の送金を受けていること。

 38万円以上の送金という基準の背景には、現地(物価の安い国)の生活水準と日本の税制の乖離があります。以前は「年間数万円」の送金でも扶養として認められるケースがありましたが、それでは「自立して生活できる親族」まで扶養に入ってしまいます。「38万円」という一定額以上の送金を求めることで、真に扶養が必要なケースに限定し、課税の公平性を担保しようとしています。

その他の控除における取り扱い 

 30歳以上70歳未満の国外居住親族への制限が厳しくなる一方で、配偶者等の国外居住親族については異なるルールが適用されるものもございます。参考に国外居住親族に関して適用できる各種控除をいくつかご案内します。

控除名特徴
配偶者控除・配偶者特別控除 年齢制限(30歳以上70歳未満の除外)はありません。 また、送金額に「38万円以上」という金額の下限設定もありません。                              
特定扶養親族控除・特定親族特別控除            19歳以上23歳未満の親族(大学生世代)を対象とした高い控除額が適用されます。
老人扶養親族控除70歳以上の親族が対象です。送金額に「38万円以上」という金額の下限設定はありません。
障害者控除年齢に関わらず障害者に該当すれば適用可能です。             

実務上の注意点:送金は「各人ごと」に

 企業の担当者が特に注意すべき点は、誰にいくら送金したのかです。 例えば、母の口座に「扶養家族3人分」としてまとめて114万円(38万×3人)を送金しても、それは「母1人分」の送金としかみなされません。扶養控除を受けるためには、親族一人ひとりの名義で個別に送金を行う必要があります。 

 また、知人に託した「手渡し」の現金は、客観的な証明ができないため一切認められません。

まとめ

 企業としては、国外居住親族がいる従業員に対して「なぜ厳しくなったのか」という背景も含めて丁寧に説明し、適切な書類準備を促すことが、年末調整業務を円滑に進める鍵となります。

 ご不明な点やお困りごとがありましたら、お気軽にお問い合せください!

 

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