令和6年度改正の中小企業向け賃上げ促進税制について

 こんにちは!税理士法人IU Managementです。 

 ここ数年は生活必需品の値上がりによって、物価上昇の波をますます感じるようになってきました。物流業界を始めとする2024年問題もあり、今後も物価上昇は続くと考えられます。この物価上昇への対策の1つとして賃上げ促進税制があります。

 今回は令和6年度の改正点を含め、中小企業向けの賃上げ促進税制について説明していきます。

 現行の所得拡大促進税制につきましてはこちらをご覧ください

中小企業向けの賃上げ促進税制とは?

 法人税額等の20%を上限として、雇用者全体の給与等支給増加額の最大45%を税額控除できる制度です。例えば、雇用者全体の給与等支給額が100万円増加した場合には最大で45万円が税額控除できることとなります。

 適用期間は令和6年4月1日から令和9年3月31日までの3年間に開始する各事業年度です。(個人事業主は令和7年から令和9年までの各年が対象となります。)

 令和6年度の税制改正で、教育訓練費に係る上乗せ要件の緩和とくるみん認定等を受けている場合の上乗せ要件が追加されています。また、控除限度超過額の5年間の繰り越しができるようになりました。

必須要件は?

 青色申告書を提出する中小企業者等又は従業員数1,000人以下の個人事業主が対象です。

 前年度比で雇用者全体の給与等支給額が1.5%以上増加増加額の15%、2.5%以上増加増加額の30%が税額控除されます。

上乗せ要件①

 教育訓練費前年度比5%以上の増加かつ適用事業年度の雇用者全体の給与等支給額の0.05%以上である場合、税額控除率が10%上乗せされます。

 令和6年度改正により教育訓練費の増加割合が前年度比10%以上から前年度比5%以上に緩和されましたが、給与等支給額の0.05%以上の教育訓練費が必要であるという要件は新設されましたので、こちらについては注意が必要です。

上乗せ要件②(新設)

 子育てとの両立支援や女性活躍支援に積極的な企業への上乗せ措置として、くるみん認定(子育てサポート認定)以上又はえるぼし二段階目認定(女性活躍支援)以上で、税額控除率を5%上乗せする措置が新設されました。

5年間の繰越税額控除制度(新設)

 赤字の中小企業に対しても賃上げへの手助けとして、繰越税額控除制度が新設されます。これにより、中小企業者等税額控除限度額のうち控除しきれない超過額を5年間繰り越しできるようになります。ただし、繰越控除をする事業年度では雇用者全体の給与等支給額が前年度よりも増加している必要があります。

  図のようにX年度で雇用者全体の給与等支給額を前年度より1,500万円増加(前年度比2.5%以上増加)させた場合、増加額の30%である450万円が税額控除額となります。X年度が赤字の場合には法人税額は0円ですので、控除しきれない税額控除額450万円が繰り越されます。

 X+1年度、X+2年度でも赤字の場合、税額控除額450万円はそのまま繰り越されます。

 X+3年度で黒字となり法人税額が1,500万円のとき、X+2年度よりも雇用者全体の給与等支給額が増加している場合、繰り越した税額控除額450万円のうち控除上限額の300万円(法人税額の20%)まで税額控除することができます。また、控除上限額を超過した150万円(450万円-300万円)はX+5年度まで繰り越されます。

 なお、控除しきれなかった税額控除額を翌年度以降に繰り越すためには、「給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」の提出をしなければなりません。

 今回は中小企業向けの賃上げ促進税制について説明をしました。

 令和6年度の改正で、中小企業にとって賃上げ税制が活用しやすくなっています。この制度を活用して従業員の方々への賃上げを検討してみてはいかがでしょうか。

 ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください!

税理士法人 IU Management TEL092-433-8715