決算月を決めるときのポイントについて
こんにちは。税理士法人 IU Managementです。
5月も終わりに近づき、3月決算の法人では決算作業で忙しかったと思います。毎年、繁忙期と決算作業の時期が重なって大変だといったことはないでしょうか?実は法人の決算月については変更することが可能です。
一般には3月・9月・12月が決算月となる法人が多いとされていますが、それが自社の業務実態に適しているとは限りません。今回は決算月を決めるときのポイントについてお話します。
1.決算月とは?
そもそも決算月とは何でしょうか?
法人は事業年度ごとに決算書等の会計書類を作成します。事業年度は一般的に1年を区切りとしており、この事業年度最後の月を決算月と呼びます。
たとえば決算月を3月とした場合、事業年度は4月1日から3月31日となります。この場合、法人は決算月末日から二か月以内に決算書等を作成し、税務署へ確定申告書を提出する義務がある為、5月末日までに確定申告を行うこととなります。
2.ポイント①繁忙期を避ける
決算月は繁忙期となる時期を避けましょう。決算月前後は棚卸などの決算業務を行う必要があり、ただでさえ多忙な時期に負担を増やしてしまいます。
また繫忙期と言う事は売上が増える時期でもあります。売上増加により予想より利益が出た場合、節税等の決算対策を行う時間が限られることとなります。
3.ポイント②支出が多い時期を避ける
決算月は支出が増えるため、手元資金が減る時期を避けましょう。手元資金が減ることにより、納税資金に不安が出てきます。
4.一度定めた決算月を変更出来るのか?
法人税法上は、任意に変更することが可能です。ただ別の法令等により、予め事業年度(会計期間)が定められている場合には、決算月を変更することは出来ません。
たとえば社会福祉法人は、社会福祉法の定めにより会計年度が4月1日から3月31日とされている為、変更することは出来ません。
大多数の法人である株式会社・合同会社・有限会社については、別の定めがない為、任意の決算月へ変更することが可能です。
5.税務的な注意点は?
税法上、令和〇年〇月〇日以後適用など、法令等に期間の定めがあるものが少なからずあります。
決算月を変更したことにより受けるつもりだった優遇措置の適用が出来なくなったなどが考えられます。
また消費税については納税義務の判定、簡易課税制度の適用にも影響を与え、インボイス制度においては、緩和措置の適用期間にも影響を及ぼします。緩和措置については過去の記事にて紹介しておりますので、ご参照ください。
6.最後に
決算月については、法人設立時に定める必要があります。
そのため何となく決算月を繁忙期にしてしまい、予測した納税額と実際の納税額に大きなズレが出て、毎年困っているということはないでしょうか?
変更に際しましては、定款の変更等・税務署への届出が必要になりますので、税理士などの専門家にご相談下さい。