今年4月に見直された「経営者保証」
こんにちは。税理士法人IU Managementです。
8月といえば、花火、海水浴、バーべキュー等々イベントが目白押しですが、今年は何よりも暑さ対策!せっかくのイベントも夏バテで楽しめなかった・・・とならないように心掛けたいですね。
今回は今年4月に見直された「経営者保証」についてです。
中小企業では当たり前とされている「経営者保証」ですが、今春金融庁の指導で大幅な見直しが行われました。
そもそも「経営者保証」とは?
中小企業が金融機関から融資を受けるとき、経営者個人が会社の連帯保証人になることです。
日本では長年の慣行として金融機関が融資をする際、経営者保証を付けるよう求めてきました。中小企業基盤整備機構の調査によると、中小企業のうち実に8割超の企業が借入に対して経営者保証を付けているそうです。
経営者保証が見直された背景は?
これまで当たり前のように設定されていた経営者保証ですが、政府が進めている経済政策(スタートアップ企業の増加や後継者問題等)のネックになっているともいえます。
経営者保証を付されることで、将来、会社の債務返済のために自分の財産を手放さざるを得なくなる若しくは大きな借入を背負うとなれば、起業や事業承継をためらう人が多く出てくる可能性があります。こうした問題点がある限り、日本経済はなかなか成長しないといっても過言ではないでしょう。
こういった問題点は以前から指摘されており、金融庁はこれまでも金融機関に対し経営者保証を付けない融資を行う様求めてきましたが、この求めに強制力はありませんでした。
どう変わる?
そこで政府は今春以降制度を大きく改革、次の4つの大きな柱から成る「経営者保証改革プログラム」を策定しました。
① 創業から5年以内のスタートアップに対して経営者保証を付けない新たな信用保証制度の創設。
② 金融機関が経営者保証を求める際、経営者や保証者への必要性説明義務を課す。
③ 金融庁に経営者保証に関する専用相談窓口を設置、状況に応じて金融庁が金融機関に対して
ヒアリングを行う。
④ 経営者保証を解除する取組みの徹底。
(経営者保証ガイドラインの要件を充足していない場合でも代替手法活用により解除推進)
特に②の説明義務には「どのように改善すれば経営者保証を外せる可能性が高まるか」という説明も含まれます。
大事なのは?
今回の改革は、長年の融資慣行を変えうる、かなり踏み込んだものであるといえます。経営者保証が付かないことで心理的な負担が減り、事業に集中することが可能になりそうです。とはいえ、経営者保証を付けない方向に向かっていることは、金融機関の目が厳しくなることも意味しています。企業の収益だけで本当に融資を返済できるのかシビアにチェックするようになるはずです。
実は、今回の経営者保証の見直しの肝はここにありそうです。
これまで以上に、 実現性の高い収益計画をしっかり定め、不明朗なお金の流れを排し、確実な経営管理体制を作り上げる。
今後、中小企業にはこうした姿勢・努力が求められることになりそうです。