会社と役員間の資金のやり取りに潜む税務リスク~役員貸付金・役員借入金とは?~
こんにちは!税理士法人IU Managementです。
梅雨に入り蒸し暑い日が続きますが、いかがお過ごしでしょうか。
早速ですが、こちらのブログをご覧になっている経営者の皆さま、自社の決算書に「役員貸付金」または「役員借入金」などの科目はございませんでしょうか。
「会社の資金繰りに困って個人の資金を会社の口座に移動した」、「急な出費で会社の資金を個人の口座に移動した」ということは決して少なくありません。
中小企業では会社と役員の資金の境界線が曖昧になりやすい傾向にあります。しかし、この「会社と役員間の資金のやり取り」について適切な処理を行わずに放置していると、税務上で予期せぬリスクを招く可能性があります。
今回は、決算書に見受けられることの多い「役員貸付金」と「役員借入金」のそれぞれの注意点についてお伝えします。
会社から役員へ貸付をしている場合(役員貸付金)
役員貸付金は、一般に会社が役員個人にお金を貸し付けた場合に用いられる勘定科目です。
会社が役員に貸付を行う際、無利息や低い利息で貸し付けるケースがあります。しかし、この場合、税法上本来受け取るべき利息(以下、認定利息)と、実際に支払っている利息との差額が「給与」として課税されてしまいます。
ただし、以下のケースなどに該当する場合、例外として給与課税しなくてもよいというルールが設けられています。
- 災害や病気などで臨時に多額の生活資金が必要となった場合
- 会社における借入金の平均調達金利など合理的と認められる貸付利率を定め、この利率によって役員または使用人に対して金銭を貸し付ける場合
- 上記の貸付金以外の場合で、国税庁の定める利率で計算した利息と実際に支払う利息の差額が1年間で5,000円以下である場合
認定利息の計算方法
では、税法上本来受け取るべき利息とはどのように計算すればよいのでしょうか。
認定利息は「貸付金の元本×利率×期間」で計算しますが、この認定利息の計算に用いる利率は、会社の資金調達方法や貸し付けた年によって、以下のように細かく定められています。
- 会社が銀行など他から借り入れた資金を貸し付けた場合:その借入金の利率
- 上記以外(会社の自己資金など)の場合:貸付けを行った年に応じた利率(令和4年から令和7年中であれば年0.9%)
なお、認定利息の計算にあたっては、元本である貸付金についてのみ利息を計算すればよく、未収となっている認定利息の集積額に対して複利計算をする必要はありません。
上記の計算で認定利息を計上すれば、税法上受け取るべき利息と実際の利息が一致するため、給与課税されることはありません。
会社が役員から借入をしている場合(役員借入金)
前述の「役員貸付金」とは対照的に、会社の資金不足時などに、会社が役員から資金を借り入れるのが「役員借入金」です。
銀行からの融資に比べてスピーディーに調達でき、無金利・低利での資金確保が可能であることや、銀行借入の信用を温存できるといったメリットがあります。
役員借入金は役員貸付金と異なり、無利息でも原則として問題はありませんが、以下のようにデメリットも存在します。
- 契約書がないことによる税務リスク
自社の役員からの借り入れであっても、借入の事実や返済条件などを書面に記載し、適正な会計処理を行う必要があります。もしこれらの処理を怠り、契約書の書面がないなどの場合、税務調査で役員から会社への贈与とみなされたり予期せぬ課税を受けたりするリスクがあります。
- 将来の相続リスク
役員借入金がある場合、万が一その役員に相続が発生した際に、会社に対する貸付金(債権)として相続財産に含まれてしまいます。会社の資金繰りの状況により、実際には返済を受けるのが難しい状態にあっても、原則として額面通りに評価されてしまうため、残された家族の相続税負担が重くなる可能性があります。
まとめ
会社と役員間の資金のやり取りは、役員貸付金、役員借入金それぞれに特有の注意点が存在します。長期間放置したり曖昧な口約束だけで適正な処理をしていない場合、後々思わぬトラブルや税負担の増加につながります。
決算書に「役員貸付金」や「役員借入金」などの科目がある場合は、適正な会計処理が行われているかの確認を行い、計画的な返済を進めることが重要です。
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