受取配当等の益金不算入制度について

 こんにちは!税理士法人IU Managementです。 

 今回は、受取配当等の益金不算入制度についてご説明いたします。

 法人の株式を保有していたり出資をしている場合、その保有株式等に係る配当金等を受け取ることがありますが、法人税法ではこの受け取った配当金等について全部もしくは一部を益金不算入とする制度があります。
 この益金不算入制度について、制度内容や実務におけるポイントなどをご説明いたします。

制度の趣旨~なぜ益金不算入となるのか~

 そもそも、なぜ受け取った配当金等についてその全部または一部が益金不算入となるのでしょうか。それは二重課税となるのを防ぐためです。

 配当金の支払額の基となる法人の利益は、法人税を課された後のものです。
その配当金に対して受け取った側でも税金を課すとなると、一つの利益に対して二重に課税されることになります。
 受取配当金等の益金不算入制度は、この二重課税を防ぐための制度と言えます。

益金不算入の対象となる受取配当金等の範囲

 本制度の対象となる受取配当金等について、原則として以下のようにその範囲が定められております。

  1.剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配
  2.投資信託及び投資法人に関する法律第137条の金銭の分配
  3.資産の流動化に関する法律第115条第1項に規定する金銭の分配
  4.法人税法第24条の規定によるみなし配当
  5.特定株式投資信託(外国株価指数連動型特定株式投資信託を除く。)の収益の分配

 ただし、益金不算入の対象となる受取配当金等であっても、その全額が益金不算入となるとは限りません。株式等の保有割合によって区分され、その区分に応じた計算方法により益金不算入額を計算することとなります。

株式等の区分と益金不算入額の計算方法

 具体的な区分内容と計算方法は以下のとおりです。

区分株式保有割合益金不算入額の計算方法
完全子法人株式等100%配当等の額×100%(全額益金不算入)
関連法人株式等3分の1超100%未満配当等の額-配当等の額の4%(注1)
その他の株式等5%超3分の1以下配当等の額×50%
非支配目的株式等5%以下配当等の額×20%

 (注1)その事業年度の支払利子等の額の合計額の10%が上限となります。
    また、支払利子等の範囲については以下のとおりです。
     ⊡ 支払利子等に含まれるもの
       借入金利子、支払手形の割引料負担額、従業員預り金の利子
       営業保証金の利子、敷金の利子、支払留保の売上割戻に係る利子
       預り金の利子、割賦購入資産に係る損金計上支払利子
       輸入決済手形借入金利子、固定資産の取得価額に算入した利子
       社債の金銭債務の償還差損の損金算入額
     ⊡ 支払利子等に含めないことができるもの
       利子税、延滞金
     ⊡ 支払利子等に含まれないもの
       売上割引料

 上記のとおり、株式等の区分により益金不算入となる金額が異なってきます。
どの区分に該当するかの判定を誤ってしまうと益金不算入とする金額が変わり、法人税等の金額も変わってしまいますので注意が必要です。

 今回は受取配当等の益金不算入制度について解説いたしました。
本制度は確定申告時に法人税申告書別表八(一)「受取配当等の益金不算入に関する明細書」を作成し添付することで適用を受けることが出来ます。
 受取配当金等がある場合にはしっかり株式等の区分の判定を行ったうえで、忘れずに適用を受けるようにしましょう。

 ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください!

税理士法人 IU Management TEL092-433-8715