令和5年3月決算法人より改正!中小企業向け所得拡大促進税制について

こんにちは。税理士法人 IU Managementです。

つい先日まで厳しい寒さが続いていましたが、3月に入って少しづつ暖かくなり、日ごとに春の訪れを感じております。

さて今回は、令和5年3月決算法人から改正される、所得拡大促進税制について説明していきます。

1.所得拡大促進税制とは?

 所得拡大促進税制とは、青色申告書を提出している中小企業者等が前年度より国内雇用者の給与等を増加させた場合に、その増加額の一部を法人税(個人事業主は所得税)から税額控除できる制度です。ただし控除できる金額については法人税額(所得税額)の20%まで、と上限が設けられております。

2.令和5年3月決算法人から適用される所得拡大促進税制の見直し

 所得拡大促進税制は、令和4年4月1日から令和6年3月31日までに開始する各事業年度について、以下のとおり改正されます。

※基本要件に変更はありません

※役員に対する給与(役員報酬)については、本税制の適用対象外となります

※給与等に充てるため国や地方自治体から補助金等を受け取っている場合は、その金額を給与等の支給額から控除します

3.控除税額の上乗せ措置の改正

 旧制度において、控除税額の上乗せ措置を適用するためには次の①②の要件をいずれも満たす必要がありました。

① 適用年度の雇用者給与が前年度より2.5%以上増加していること

② 適用年度の教育訓練費が前年度より10%以上増加している、または、認定を受けた計画に基づいた経営力向上の証明がされていること

「前年度に比べて従業員の給与は2.5%以上増加したが、教育訓練費や経営力向上計画の要件を満たしておらず上乗せ措置が適用できなかった・・・」

といったケースも少なくないと思います。

一方、新制度においては、控除税額の上乗せ措置の適用要件が大きく緩和されることとなりました。

具体的には、次の①②の要件のいずれかを満たせば、それぞれの要件ごとに設定されている上乗せ措置が適用できます。

① 適用年度の雇用者給与が前年度より2.5%以上増加していること・・・控除率15%上乗せ

② 適用年度の教育訓練費が前年度より10%以上増加していること・・・控除率10%上乗せ

今回の改正により、上乗せ措置の適用要件が簡素化され、基本控除率15%と合わせて最大で40%の税額控除を適用できるようになります。

ただし、冒頭でもお伝えしました、適用年度の法人税額(所得税額)の20%が控除金額の上限という点は変更ありませんのでご注意ください。

今回は、中小企業者等の賃上げを支援する所得拡大促進税制についてご紹介いたしました。

実際の適用には細かな確認点も多くございますので、本税制についてご不明な点がございましたらお気軽にお問合せください。

税理士法人 IU Management TEL092-433-8715